初めての喜界島訪島

塩道 – 美しい砂浜の広がる集落

昔、ケサマツという絶世の美女がいたそうだ。
島中の若者が、この女に思いを寄せていた。

ある日、ひとりの若者がケサマツに言い寄った。
今だったらストーカーと言えるほど、執拗につきまとったらしい。
耐えきれなくなったケサマツは、その青年に馬の番を頼んだ。
馬が逃げないように、青年の足と手綱を結んで。
そして、傘の開く音で脅かし、馬を走らせた。
青年は長い砂浜を馬に引きずられ、無惨な死を遂げた。
その後、塩道長浜では夜な夜な赤子の泣き声がしたという。

ここまでは、よくある言い伝えなのだが。
どうやら、私の嫁の先祖のひとりに、ケサマツがいるかもしれないらしい。
私も、言動には充分注意しようと思う。

砂浜の散策

と、言い伝えの話はここまでにして。
きれいな砂浜が広がっているので、散策をしないわけにはいかない。
整備された遊歩道を進む。

白い、白い、砂に覆われた砂浜が見えた。
晴れたいたらどんなに美しいのか、と天気に恨み節を放りつつ、白い砂を手に取ってみる。
石川啄木の『一握の砂』を思い出しつつ、別に私は悲しい気持ちでも何でもないので、後から違和感を感じたり。

喜界島の空は曇っていたが、遙か洋上の空は、少しだけ、日が射していた。
海が大きくグラデーションを成していて、つい、カメラを構えた。